経済学入門(8) 支出面から見たGDP

三面等価とは,国全体では,生産と所得,支出のすべてが等しくなるというものでした。ここでは,支出面から見たGDPの内訳,すなわち,生産された財・サービスを,だれが,どのような目的で,どれだけ購入したのかについて見ていきましょう。

支出面から見たGDPの内訳

内閣府の国民経済計算(GDP統計)のページから,四半期GDP速報の実質実額(gaku-jk1512.csv)のファイルをダウンロードして開いてみましょう。

このファイルの二列目(B列)はGDPの金額(年率換算)で,三列目(C列)以降はその内訳になっています。このデータでは,GDPは以下の支出項目に分類されています。

  • 民間最終消費支出
  • 民間住宅
  • 民間企業設備
  • 民間在庫品増加
  • 政府最終消費支出
  • 公的固定資本形成
  • 公的在庫品増加
  • 財貨・サービスの純輸出
  • 開差

民間最終消費支出の右側には,一段ずつ下がって二つの項目が掲載されています。ここで,一段下がるのは,その項目が左側の項目の内訳であることを示しています。たとえば,家計最終消費支出は,民間最終消費支出の一部です。すなわち,2015年1~3月期の民間最終消費支出は308,937.0十億円ですが,そのうちの300,777.3十億円は家計最終消費支出であったということです。さらに,家計最終消費支出には持ち家の帰属家賃が含まれており,持ち家の帰属家賃を除いたものがE列の金額になります。家計最終消費支出が300,777.3十億円,そこから持ち家の帰属家賃を除いたものが248,935.8十億円ですから,持ち家の帰属家賃は51,841.50十億円ということになります。また,純輸出とは,輸出額(M列)から輸入額(N列)を引いた金額です。

GDPの内訳ですから,上に列記した項目を全て足しあわせればGDPになるのですが,その際,一段下がった項目まですべて足しあわせると二重計算となり,GDPとは等しくならないので注意してください。

支出の分類

GDPは,まず国内部門と海外部門とに分けることができます。ここで,海外部門というのは純輸出で,国内部門は純輸出以外のすべての項目です。国内部門は,さらに民間部門と政府(公的)部門とに分けられます。そして,民間部門および政府部門の支出は,それぞれ消費と投資とに分けられます。

国内部門の支出は,だれが(民間か政府か)どのような目的で(消費か投資か)支出したものであるかによって,分類されます。消費が現在のための支出であるのに対し,投資というのは,将来の財・サービスの生産のために用いられるものを購入することです。もちろん,同じ財であっても,消費に用いられる場合もあれば,投資に用いられる場合もあります。たとえば,冷蔵庫は家庭で用いるために購入されれば消費ですが,レストランが業務用として購入すれば投資になります。

純輸出とは,輸出額から輸入額を差し引いたものです。生産された財・サービスのうち,輸出されたものは海外で購入されるので,国内の支出にはなりません。一方で,輸入は国内で生産されたものではありませんが,国内で購入されるので,国内の支出になります。したがって,国際貿易がある場合には,国内の支出に輸出を足し輸入を引くことによって,生産と等しくなります。

上の詳細な分類を,やや大きなカテゴリで分類しなおすと,以下のようになります。

  • 民間消費(C)・・・民間最終消費支出
  • 民間投資(Ip)・・・民間住宅,民間企業設備,民間在庫品増加
  • 政府消費(G)・・・政府最終消費支出
  • 公的投資(Ig)・・・公的固定資本形成,公的在庫品増加
  • 純輸出(NX)

さらに,民間投資と公的投資をあわせて投資(I)としましょう。そして,GDPをYであらわせば,以下の式が成立します。

\(Y \equiv C+I+G+NX\)

この式は,マクロ経済学でよく出てくる恒等式なのですが,単にGDPの内訳を表しただけの式に過ぎませんので,難しく考えないようにしましょう。

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