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計量経済学の第一歩

計量経済学の第一歩 — 実証分析のススメ (有斐閣ストゥディア)

実践に重点を置いた計量経済学の教科書です。確率論および統計的推論についての基礎からはじまり,最小二乗法と政策評価に応用可能なさまざまな分析方法が紹介されています。

難易度としては,学部中級レベルで,行列の知識は必要ありません。コラム欄には,数学に関する簡潔でわかりやすい解説があるので,必要な数学は復習しながら読み進めることができます。ただし,あまり数学を勉強したことのない人は,数学や統計学の入門書をあわせて読む必要があるかもしれません。

本書を読むことで,理論的な厳密性にはこだわらず,計量経済学でどのような分析が可能なのかということが理解できます。また,ウェブサポートページには,データやソフトウェアのコードが掲載されており,分析を自分で再現することができるようになっています。実際の分析のプロセスをたどることで,実証分析の技術は大きく向上します。

労働経済学

労働経済学

私がおすすめする労働経済学の教科書です。理論・実証がバランス良く取り扱われており,内容が豊富です。難易度はやや高めですが,丁寧に書かれているので,じっくり読めば学部3年生でも十分に理解できると思います。

労働経済学をはじめとする応用経済学の理解には,一定レベルのミクロ経済学と計量経済学の基礎が前提となります。ハーバード大学のBorjas氏が書いた”Labor Economics“という教科書は,読みながらミクロ経済学や計量経済学の基礎も理解できるという秀逸な教科書ですが,その分500ページを超える大部になっており,日本語訳は出版されていません(アメリカでは説明の多い分厚い教科書が好まれるそうですが,日本では分厚い本はあまり売れないそうです)。

この教科書は,ミクロ経済学の基礎を理解しているという明確な前提をおくことで,多岐にわたる労働経済学のトピックがコンパクトにまとめられています。また,統計学や計量経済学に関する専門的な知識がなくても,実証分析のアイデアについて理解できるよう配慮されています。

労働経済学の授業を受けて,より深く学びたいという方は,ぜひこの教科書を読んでほしいと思います。

 

基本統計学

基本統計学 第4版

大学の一般教養レベルの統計学の教科書です。

統計学の教科書は,それこそ数え切れないほどの種類が出版されています。もちろん基本レベルの教科書はどれも同じ内容ではあるのですが,作者によって説明の方法や取り上げる例が異なっており,わかりやすいと思う本もひとりひとり違ってきます。いくつかの教科書を読んでみて,自分がいちばんわかりやすいと思うものを使うのがベストですが,やはり多くの人がわかりやすいと感じる人気の教科書というものが存在します。

私自身も,大学生のときにはなかなか統計学が理解できず,図書館で何冊も教科書を読み比べて悪戦苦闘していました。そんな中で,「わかりやすい」と思ったのがこの本です。それ以来,大学院で計量経済学を学んでいるときにも,教員になってから統計学や計量経済学の授業をするときにも,常にこの本を参考にしてきました。この本に出会わなければ,統計学を諦めて今の仕事はしていなかったかもしれません。もう20年以上使ってきたので,本はけっこう傷んでしまいましたが,amazonで調べていると,つい先日第4版が出版されたことを知り,さっそく注文しました。

思い出話はさておき,この教科書の特徴は,練習問題が非常に多く掲載されているということです。また,問題の解答もついているので,とにかく理解できるまで問題を解き続けるということが可能です。Excelで意味もわからず計算して答えだけを出しわかった気になって満足するというのではなく,手計算や電卓を使って応用問題を解きながら統計理論を理解していくというのは,非常に効率的な勉強方法だと思います。